上坂樹里の出演作を整理したい人へ。上坂樹里は、2005年生まれ・神奈川県出身の女優で、Seventeen専属モデルとしてキャリアをスタートさせ、NHK『ヒロイン誕生!』やTBS『御上先生』などで「大人になりきれない少女」「屈折を抱えた10代」を演じ続けてきました。そして2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』で、見上愛とのW主演という異例の座組に抜擢されています。
このページでは、上坂樹里 出演作を年代順に整理しながら、なぜ今回のオーディション2410人の中から選ばれたのか、その手がかりをこれまでの役柄の積み重ねから読み解きます。『風、薫る』のキャスト・相関図全体を確認したい人は、まず

上坂樹里とは?神奈川県出身・2410人のオーディションを勝ち抜いたもうひとりのヒロイン
上坂樹里(こうさか じゅり)は、2005年7月14日生まれ、神奈川県出身の女優・ファッションモデル。身長160cm。所属はエイベックス・マネジメント・エージェンシー。愛称は「じゅったん」。2026年度前期のNHK連続テレビ小説第114作『風、薫る』で、見上愛とともにW主演のヒロインを務めている。20歳前後で朝ドラのヒロインに抜擢されること自体は珍しくないが、上坂樹里の場合は地上波連続ドラマでのレギュラー出演経験がまだ数本という段階での大抜擢であり、その点で異例のスピード感のあるキャリアパスといえる。
モデルから女優へ——キラチャレ2017からミスセブンティーン2021まで
上坂樹里の芸能活動は、2017年にエイベックスが主催する中学生以下対象のオーディション「キラチャレ2017」でモデル部門の審査員特別賞を受賞したことから始まる。2018年には第5期ジュエルナガールに選出され、キッズ・ティーンモデルとしてカタログ撮影などで経験を積んだ。2019年からはエイベックス所属の若手6人によるユニット「南青山少女隊」のメンバーとなり、2020年12月に卒業。ここまでの数年間は、あくまで「モデル・アイドル的な活動」の枠の中にいた時期といえる。
転機になったのは2021年、雑誌『Seventeen』の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン2021」だ。上坂樹里は本人いわく専属モデルオーディションへの挑戦は4度目で、この年についに合格。駿台予備校のイメージキャラクターも務めていた高校1年生の合格に、家族は「泣きながら喜んだ」という(2021年10月7日付デイリースポーツの報道より)。同じ2021年、LINE NEWSの配信ドラマ『そらぞら』に出演し、これが女優としてのデビュー作になった。
ここまでの流れを見ると、上坂樹里は「エイベックス系のキッズ・ティーンモデル→Seventeen専属モデル→地上波ドラマ」というキャリアパスをたどった女優であることが分かる。ファッション誌の専属モデルから女優へ軸足を移す例自体は珍しくないが、上坂樹里の場合はモデル活動が長期化する前に、比較的早い段階でドラマ出演の比重を増やしていったのが特徴だ。2022年の地上波ドラマ初主演からわずか4年でNHK朝ドラのW主演に到達したスピードは、モデル活動と並行して女優としての実績を意識的に積み上げてきた結果と見ることができる。
4度目の挑戦でつかんだミスセブンティーン合格というエピソードは、上坂樹里のキャリア全体を貫く「一度で通らなくても挑戦を重ねる」姿勢を象徴してもいる。この後の『風、薫る』オーディションでも、2410人という応募者数の中から選ばれるという、規模の大きな選考を勝ち抜くことになる。
上坂樹里 キャリアの4つの転機
上坂樹里のここまでの歩みは、単純な年表よりも「4つの転機」で見るとキャリアの骨格がつかみやすい。
- 転機1(2021年・16歳):「ミスセブンティーン2021」合格でSeventeen専属モデルに。同年、配信ドラマ『そらぞら』で女優デビュー
- 転機2(2022年):VISIONの配信ショートドラマ『可愛くなったらさようなら』で初主演。同年、NHK『ヒロイン誕生!ドラマチックなオンナたち』第2話で地上波ドラマ初主演を果たし、女優活動が地上波の実績として積み上がり始める
- 転機3(2023年):NHK総合の単発ドラマ『生理のおじさんとその娘』で主人公の娘・光橋花を演じ、地上波連ドラ以外の企画ドラマにも本格進出。同作は「東京ドラマアウォード2023」で作品賞(単発ドラマ部門)を受賞している
- 転機4(2025年):TBS『御上先生』で東雲温役を演じたことがきっかけとなり、同作放送中の2025年6月、NHK連続テレビ小説『風、薫る』のもうひとりのヒロインに決定。2410人が参加したオーディションを勝ち抜いた末の抜擢だった
2022年の「地上波ドラマ初主演」から『風、薫る』のW主演まで、わずか4年というスピードは、10代の女優としてはかなり早い。しかもその4年間、上坂樹里が演じてきたのは主に「大人になりきれない少女」「事情を抱えた10代」の役だった。この積み重ねが、次章で見る役柄の傾向、そして朝ドラ抜擢の理由につながっていく。
ヒロイン決定発表時、上坂樹里は「まさかこんなに多くの方が応募されるとは思っていなくて、その中に埋もれていてもいいのかなと思っていた」と、2410人という規模の大きさに戸惑いを見せつつ喜びを語っている。その後2026年2月のクランクイン時には「心を込めて演じてまいります」とコメントし、W主演としての覚悟を口にした。
実在した明治のナースがモデル——『風、薫る』の物語背景
『風、薫る』は、明治期に活躍した実在の看護婦・大関和と鈴木雅をモデルにした物語とされる。血のつながりも幼なじみでもない、看護学校の同期という関係の二人が、それぞれ異なる価値観を抱えながら「最強のバディ」に育っていく構成は、連続テレビ小説として過去に例のない、血縁関係のない女性2人が対等にW主演を務める初めての試みだという。上坂樹里が演じる大家直美は、見上愛演じる一ノ瀬りんとは対照的に「孤児として牧師に育てられ、目的のためには嘘やズルもいとわない」したたかさを持つ人物として設定されている。まだ実績の浅い10代の女優に、実在の人物をベースにした重厚な役を任せたこと自体が、NHK側の期待の大きさを物語っている。
朝ドラは平日毎日15分、半年間にわたって放送される特殊なフォーマットで、ヒロインには連続ドラマとしての演技の持久力が求められる。上坂樹里にとって『風、薫る』は、地上波連続ドラマのレギュラー経験が浅い段階でのぶっつけ本番に近い挑戦であり、その意味でも今回のW主演抜擢は本人にとってもキャリア最大の試練であり、最大のチャンスでもある。
上坂樹里 出演作・代表作リスト【ドラマ・映画】
上坂樹里の女優としてのキャリアは2021年の配信ドラマデビューからまだ5年に満たないが、地上波・配信・映画と幅広いフィールドで着実に出演作を重ねている。共通するのは、単発ドラマや群像劇のワンエピソードといった短い尺の中でも印象を残す仕事を選び取ってきたことで、これはレギュラー出演の本数がまだ少ない若手女優にとって、経験値を効率よく積み上げる現実的な戦略でもある。ここでは代表作を時系列で整理する。
テレビドラマ代表作(2022〜2026)
| 年 | 作品名 | 役名 | 役柄 | 放送局 |
|---|---|---|---|---|
| 2022 | 『ヒロイン誕生!ドラマチックなオンナたち』第2話 | 北林谷栄(若年期) | 地上波ドラマ初主演。名バイプレイヤーとして知られた女優・北林谷栄の若き日を演じる | NHK |
| 2023 | 『生理のおじさんとその娘』 | 光橋花 | 反抗期の娘役。地上波連続ドラマ以外での本格的な主演級 | NHK総合 |
| 2023 | 『いちばんすきな花』 | 志木美鳥(中学生時代) | 大人になった同役の少女時代を担当 | フジテレビ |
| 2023 | 『あれからどうした』第2話 | 久保絵梨花 | 単発ドラマのヒロイン役 | NHK総合 |
| 2024 | 『となりのナースエイド』第7話 | 香澄 | ゲスト出演・入院患者役 | 日本テレビ |
| 2024 | 『ビリオン×スクール』 | 梅野ひめ香 | 連続ドラマ初レギュラー出演 | フジテレビ |
| 2025 | 『御上先生』 | 東雲温 | オーディションを勝ち抜いた生徒役の一人 | TBS |
| 2025 | 『TRUE COLORS』 | 立花海咲(中高生時代) | 倉科カナ演じる主人公の少女時代 | NHK BS |
| 2025 | 『いつか、無重力の宙で』 | 日比野ひかり(高校時代) | 天文部の仲間4人の一人。太陽のように周囲を惹きつける少女 | NHK総合(夜ドラ) |
| 2026 | 『風、薫る』 | 大家直美(W主演) | 孤児として牧師に育てられた、目的のためには嘘やズルもいとわない、したたかな女性 | NHK(連続テレビ小説) |
映画代表作(2025〜2026)
| 年 | 作品名 | 役名 | 話題ポイント |
|---|---|---|---|
| 2025 | 『ロマンティック・キラー』 | 高峯咲姫 | 東宝配給・青春コメディ |
| 2026 | 『山口くんはワルくない』 | 和久ほのか | なにわ男子・高橋恭平主演のラブストーリーで、三軍女子グループの一人として印象を残す |
配信ドラマとしては、2021年のLINE NEWS『そらぞら』でのデビュー、2022年VISION『可愛くなったらさようなら』での初主演、2024年FODオリジナルストーリー『ビリオン×スクール』などがあり、地上波に出る前から配信の場数を踏んできたことが分かる。
特に2025年は上坂樹里にとって出演作の密度が一気に上がった年だった。TBS日曜劇場という高視聴率帯の『御上先生』、NHK BSの連続ドラマ『TRUE COLORS』、NHK総合の夜ドラ『いつか、無重力の宙で』と、放送局・時間帯の異なる3本にほぼ同時期に出演。いずれも「主人公本人ではなく、主人公に近い立場の10代」というポジションではあったが、露出量そのものが前年までとは比較にならないペースで増えており、この年の積み重ねが同年6月の朝ドラヒロイン発表につながったと見て間違いない。
役柄の傾向——「大人になりきれない少女」から「したたかな大人の女」へ
上坂樹里のここまでの出演作を並べて気づくのは、主人公の「少女時代」や「もう一人の視点人物」を任されるケースが非常に多いということだ。『いちばんすきな花』の志木美鳥は大人になった主人公の中学生時代、『TRUE COLORS』の立花海咲も倉科カナが演じる主人公の中高生時代、『いつか、無重力の宙で』の日比野ひかりも大人になったキャラクターの高校時代。いずれも「本編の主役ではなく、主役の過去や周辺を担う10代の少女」という共通点がある。
その中でも異色なのが『生理のおじさんとその娘』の光橋花と『御上先生』の東雲温で、この2作は「思春期特有のままならなさ」を正面から引き受ける役だった。光橋花について上坂樹里自身は、当時の自分と役の年代が近かったことから「共感できる部分や重なる部分が多く、自分と照らし合わせながら役を作っていくことができた」と振り返っている。特に意識したのは父親と弟への態度の差で、「お父さんと弟のそれぞれに接する際にどれだけテンションの差を見せられるか意識しました」と語り、思っていても言葉にしない花の性格を、あえて「やりすぎるくらい」の表情芝居で伝えようとしたという。共感を起点にしながらも、感情を表に出さないキャラクターを表情の作り込みで補う、という役作りのアプローチが具体的に見えてくる発言だ。
筆者は『御上先生』を放送当時に視聴していたが、東雲温のように大きな見せ場が用意されているわけではない生徒の一人であっても、教室の空気の中で目立ちすぎず、かといって埋もれもしない存在感を出していたのが印象に残っている。派手な演技で押すのではなく、集団の中の一人としての質感を出せるタイプの女優だと感じた。
この「主役を食わない10代の実在感」を積み重ねてきた先に、『風、薫る』の大家直美という役がある。直美は「若年期の脇役」ではなく、W主演という物語の中心人物であり、しかも「目的のためには嘘やズルもいとわない」としたたかさを前面に出したキャラクター造形だ。これまでの上坂樹里が担ってきた「事情を抱えた素直な少女」路線とは、実はやや異なる。筆者はここに、NHKが上坂樹里に賭けた部分があるのではないかと見ている。素直な少女役の説得力はすでに実績として証明済みだったからこそ、あえて対極の「したたかさ」を持つ役を主演に据えることで、女優としての新しい引き出しを引き出そうとしたのではないか——というのが筆者なりの仮説だ。
見上愛とのバディ関係——「衝突しながら理解し合う」設定の意味
『風、薫る』のもう一つの見どころは、見上愛と上坂樹里という「生まれも育ちも異なる2人」の関係性そのものだ。放送前のインタビューで見上愛は、りんと直美の関係について「生まれも育ちも異なる2人が衝突しつつ、理解し合う真のバディに」なっていくと語っている。血縁のない女性同士がぶつかり合いながら対等な相棒になっていく構図は、朝ドラの伝統的な「姉妹」「幼なじみ」的なヒロイン関係とは一線を画す。筆者は、この「対立から始まる対等な関係」こそが、直美という役に「したたかさ」が与えられた最大の理由ではないかと見ている。りんの実直さと直美のしたたかさが正面から衝突しなければ、そもそも「バディになる過程」自体が描けないからだ。
放送中の『風、薫る』を観て感じたこと
筆者は『風、薫る』を放送開始から追いかけているが、序盤で印象に残ったのは、りんの父・信右衛門が体調を崩して倒れる場面など、一ノ瀬家に次々と試練が降りかかる一方で、直美のパートでは牧師のもとで育った境遇の複雑さが、説明的なセリフではなく表情や間合いで少しずつ滲み出てくる構成だった。同じ「明治期の女性の奮闘物語」という枠組みでありながら、りんの物語が家族の危機を軸に進み、直美の物語が「育ちの複雑さをどう乗り越えるか」を軸に進んでいく、という対比のつけ方が丁寧だと感じている。上坂樹里の演技は、直美の「したたかさ」を誇張して見せるのではなく、必要な場面でだけそれを覗かせる抑制の効いた芝居になっている印象で、今後りんとの関係が深まるにつれて、この抑制がどう崩れていくのかが個人的な見どころだ。
大家直美を取り巻く人間関係——養父・同期との対比構造
『風、薫る』で上坂樹里が演じる大家直美の周囲には、対照的な立場の人物が配置されている。直美を育てた養父・吉江善作(原田泰造)は牧師という立場でありながら、直美に「したたかさ」を許容してきた育て方をした人物として描かれ、看護婦養成所の同期である玉田多江(生田絵梨花)や泉喜代(菊池亜希子)は、直美とは違うタイプの信念を持つ女性として物語に配置されている。特に敬虔なキリスト教徒として描かれる泉喜代は、目的のためには手段を選ばない直美と価値観がぶつかりやすい役回りだ。上坂樹里は、りんという「対の主人公」だけでなく、こうした周囲の登場人物との距離感の描き分けも求められる座組の中に立っている。
神奈川県出身×オーディション勝ち上がり型キャリアという独自視点
上坂樹里のキャリアで見落とされがちなのが、「モデルオーディション→ドラマオーディション→朝ドラオーディション」と、一貫して公募・選考を勝ち抜く形でキャリアを積み上げてきた点だ。キラチャレ2017の審査員特別賞、4度目の挑戦で合格したミスセブンティーン2021、そして2410人が参加した『風、薫る』のヒロインオーディション。事務所の後押しだけでなく、その都度「選ばれる」プロセスを経てきたことが、本人のインタビューでも繰り返し語られている。
また出身地の神奈川県は、芸能界において「地元感」を前面に出しにくい土地でもある。高良健吾の熊本のように、地方出身俳優が「出身地とドラマの舞台」を結びつけて語られるケースと比べると、上坂樹里はまだ「出身地に紐づくストーリー」を積極的に発信していない。『風、薫る』の物語は、栃木県那須出身の一ノ瀬りんと、東京で身寄りなく育った大家直美という、それぞれ異なる土地的背景を持つ2人が明治期にトレインドナースの道を切り拓く構成で、地方都市でのロケも行われている。見上愛とともに新潟日報の取材に応じ、現地への思いを語った記事もあり、地元との結びつきよりも、撮影で訪れた土地ごとの体験を丁寧に発信するタイプと言えそうだ。
配信時代の上坂樹里——朝ドラ以降の現在地
2025年7月14日、20歳の誕生日に合わせて1st写真集『日日是好日』(幻冬舎)を発売した。タイトルは撮影先の五島で出会った禅の言葉から本人が選んだもので、「良い日も悪い日もすべて意味のある一日」という解釈を込めているという。10代最後の姿を収めた1冊として、モデル出身の女優としての一つの節目をクリアした形だ。
2026年3月30日にスタートした『風、薫る』は、初回の世帯視聴率14.9%・個人視聴率8.3%を記録し、以後も週平均で13〜15%台を推移している。放送はNHK総合での本放送に加え、NHKプラスの見逃し配信でも視聴可能で、放送期間中は無料で最新話を確認できる。朝ドラのヒロインという立場は雑誌の表紙・CM起用・バラエティ出演にもつながりやすく、上坂樹里自身も「オロナミンC」の新CMに起用されるなど、朝ドラ放送と並行して露出の幅を広げている。
上坂樹里の人柄・仕事への向き合い方
上坂樹里の人柄をうかがわせるのは、インタビューでの発言の端々だ。『生理のおじさんとその娘』出演時には「お互いの考えを否定せず尊重し合える関係が大事」と語り、思春期の複雑な心情を演じる上で共演者との信頼関係を重視する姿勢を見せている。東京ドラマアウォード2023の授賞式では「本当にチームが一丸となって撮影が出来ました」とコメントし、単独のスター性よりも現場全体への感謝を口にするタイプであることがうかがえる。
『御上先生』への出演をきっかけに『風、薫る』のヒロインに決定した際には「夢のようです」と喜びを語っており、ミスセブンティーン2021合格時も「家族で泣きながら喜んだ」というエピソードが報じられている。派手な自己アピールよりも、選考や現場の積み重ねの中で着実に評価を得てきたことを本人自身が誰よりも実感している、という言葉の選び方が一貫している印象だ。
1st写真集『日日是好日』のタイトルについて、「良い日も悪い日もすべて意味のある一日で、そのどれもが自分の成長にとって必要な一日」という解釈を本人が語っていることも、上坂樹里の人柄をよく表している。オーディションに落ちた時期も、ゲスト出演やモデル活動が続いた時期も、後から振り返れば朝ドラヒロインにつながる一日だった、と捉えられる本人の姿勢は、4度目でつかんだミスセブンティーン合格のエピソードとも重なる。
上坂樹里を観るならこの作品から
上坂樹里の出演作を初めて観る人へ、入口別のおすすめを整理する。
朝ドラで観たい人——『風、薫る』大家直美
2026年度前期のNHK連続テレビ小説。見上愛演じる一ノ瀬りんと対照的な、孤児として牧師に育てられたしたたかな女性・大家直美を演じる。W主演という珍しい座組で、二人のヒロインの対比そのものが最大の見どころ。配信:NHK総合(本放送)・NHKプラス(見逃し配信)。詳しいキャスト相関図は

思春期の屈折を観たい人——『生理のおじさんとその娘』光橋花
2023年放送のNHK総合の単発ドラマ。生理をテーマにした父娘のディスコミュニケーションを描いた企画ドラマで、上坂樹里は父・弟とすれ違い続ける反抗期の娘・光橋花を演じた。撮影前にキャスト・スタッフ全員で生理についての講習を受けてから撮影に臨んだというエピソードもあり、地上波連ドラとは異なるテーマ性の強い一作。東京ドラマアウォード2023の作品賞(単発ドラマ部門)を受賞している。
青春群像で観たい人——『いつか、無重力の宙で』日比野ひかり
2025年放送のNHK総合・夜ドラ。天文部に集う4人の若者の青春群像劇で、上坂樹里は主人公格の一人・日比野ひかりの高校時代を演じた。「好きなものに素直で、太陽のように周囲を惹きつける」というキャラクター造形は、したたかさを前面に出す直美とはまた違う上坂樹里の一面が見られる。1話15分という短尺の中でテンポよくキャラクターの魅力を伝える構成で、朝の帯ドラマとは違う夜ドラならではの空気感も楽しめる。
学園群像で観たい人——『御上先生』東雲温
2025年放送のTBS日曜劇場。松坂桃李演じる教師と、オーディションを勝ち抜いた生徒役29人が織りなす学園ドラマで、上坂樹里は生徒の一人・東雲温を演じた。単独の主役ではなく大人数の生徒群像の中の一人という立場だが、この作品での起用がのちの『風、薫る』抜擢の直接のきっかけになったとされる、キャリア上とりわけ重要な1本といえる。
映画で観たい人——『山口くんはワルくない』和久ほのか
2026年公開、なにわ男子・高橋恭平主演のラブストーリー映画。強面の転校生とその素顔を知った女子高生、彼女に告白するイケメン男子の三角関係を描く物語の中で、上坂樹里は三軍女子グループの一人・和久ほのかとして脇を固めている。朝ドラ放送と同時期の映画公開で、地上波・映画の両方で名前を見る機会が増えている時期の一本。
上坂樹里の今後への期待
ここまで見てきた通り、上坂樹里はこの数年、「主役の少女時代」「群像の一人」というポジションを丁寧に積み重ねた末に、『風、薫る』でついに物語の中心に立った。筆者としては、朝ドラという毎日放送される長丁場の中で、これまでのような「一話・数話単位の存在感」ではなく、半年間かけてキャラクターがどう変化していくかをじっくり見せてもらえることに、素直に期待している。特に大家直美という「したたかさ」を前面に出した役は、これまでの上坂樹里の出演作にはあまりなかったタイプなので、朝ドラ後半にかけてこのキャラクターがどこまで丸みや弱さを見せるのか、その振れ幅を追いかけたい。
また、これまでの出演作は「主人公の少女時代」「学園ものの生徒の一人」といった、良くも悪くも脇に回るポジションが多かった。朝ドラのW主演を経験したことで、今後は完全な単独主演作や、10代・学生ではない「働く大人の女性」役への挑戦が増えていくのではないかと予想している。映画『山口くんはワルくない』での三軍女子役のような、脇でも印象に残る演技ができる俳優だからこそ、次のフェーズでは主演映画やオリジナル連続ドラマでの単独主演を観てみたい、というのが筆者の率直な期待だ。
もう一つ期待しているのは、『いつか、無重力の宙で』の日比野ひかりのような、明るく人を惹きつけるタイプの役と、『風、薫る』の大家直美のような、腹に一物を抱えた役の両方を演じ分けられることが証明された点だ。10代のうちにこれだけ振れ幅の異なる役を経験できている女優は多くない。朝ドラという半年間の長丁場を終えたあと、上坂樹里がどちらの引き出しを軸に次のキャリアを組み立てていくのか、あるいは両方を行き来しながら役の幅をさらに広げていくのか、W主演を経たあとの動き方そのものが今後の見どころになると考えている。
記事の要点まとめ
- 上坂樹里は2005年生まれ・神奈川県出身、エイベックス・マネジメント・エージェンシー所属の女優。Seventeen専属モデル出身
- 2021年に配信ドラマ『そらぞら』でデビューし、2022年NHK『ヒロイン誕生!』で地上波ドラマ初主演。以後「主人公の少女時代」を演じる役が続いた
- 2023年『生理のおじさんとその娘』が東京ドラマアウォード2023作品賞を受賞、2025年『御上先生』出演が『風、薫る』抜擢のきっかけとなった
- 2026年度前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』で見上愛とW主演。大家直美役は、これまでの「素直な少女」路線とは異なる「したたかな女性」を演じる新境地
- 役柄の傾向は「主役の若年期・群像の一人」から「物語の中心人物」への転換期。今後は単独主演作への挑戦に期待
※本記事は2026年7月時点で公開されている情報をもとに作成しました。出演情報・放送スケジュールは今後変更される場合があります。

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